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東京地方裁判所 平成2年(特わ)1742号 判決 1991年2月12日

本店所在地

東京都文京区小石川一丁目一三番九号

有南開発株式会社

(昭和六〇年七月二九日以前の商号は、有楽町南部地区開発株式会社)

(右代表者代表取締役 宮本寛友)

本籍

茨城県行方郡潮来町大字潮来六七三番地

住居

東京都世田谷区奥沢四丁目六番五号

会社役員

宮本寛友

昭和九年四月六日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有南開発株式会社を罰金三五〇〇万円に、被告人宮本寛友を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人宮本寛友に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有南開発株式会社(昭和六〇年七月二九日以前の商号は、有楽町南部地区開発株式会社・以下、被告会社という)は、東京都文京区小石川一丁目一三番九号(昭和六〇年一一月二五日以前は、東京都中央区京橋三丁目六番二一号)に本店を置き、不動産の売買及び仲介等を目的とする資本金四〇〇〇万円(昭和六〇年一月二九日以前の資本金は一〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人宮本寛友(以下、被告人という)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、受取手数料収入を除外し、不動産関係手数料を架空ないし水増し計上し、あるいは不動産仕入原価を架空計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五九年九月一一日から同六〇年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億二〇八二万七一七七円(別紙1修正損益計算書参照)であったのにかかわらず、昭和六〇年一〇月三一日、東京都中央区新富二丁目六番一号所在の所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四二八九万八九八六円であり、これに対する法人税額が一七四八万一九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成二年押第一〇二四号の1)を提出し、そのまま法定納期間を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五一二二万五二〇〇円と右申告税額との差額三三七四万三三〇〇円(別紙3脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六〇年九月一日から同六一年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億九三八五万三八九〇円(別紙2修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が一一億四三六九万八〇〇〇円(別紙3脱税額計算書参照)であったのにかかわらず、昭和六一年一〇月三一日、東京都文京区春日一丁目四番五号所在の所轄小石川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二億三九八一万六八五四円、課税土地譲渡利益金額が一二億三三三八万三〇〇〇円であり、これに対する法人税額が三億四五七六万六二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四億三七八二万七二〇〇円と右申告税額との差額九二〇六万一〇〇〇円(別紙3脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する平成二年九月二五日付、同月二八日付、同年一〇月二日付、同月三日付、同月五日付各供述調書

一  柳瀬純江の検察官に対する平成二年九月一三日付、同月一四日付各供述調書

一  収税官吏作成の次の調査書

1  土地売上高調査書

2  受取利息調査書

一  検察事務官作成の平成三年一月一八日付捜査報告書(中野区上高田物件の公表計上額について)

一  登記官作成の平成二年二月一日付商業登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成二年一〇月四日付供述調書

一  柳瀬純江の検察官に対する平成二年九月四日付、同月六日付(二通)、同月七日付各供述調書

一  収税官吏作成の次の調査書

1  受取手数料調査書

2  期末棚卸調査書

3  不動産関係手数料調査書

4  交際接待費調査書

5  広告宣伝費調査書

6  賃貸料調査書

7  交際費損金不算入額調査書

一  検察事務官作成の平成二年一〇月一三日付捜査報告書及び同三年一月一四日付捜査報告書(架空支払手数料にかかる補足説明)

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六〇年八月期分)一袋(平成二年押第一〇二四号の1)

判示第二の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成二年一〇月一〇日付、同月一一日付各供述調書

一  柳瀬純江の検察官に対する平成二年九月八日付、同月一一日付(二通)各供述調書

一  小池正照の検察官に対する供述調書(二通)

一  収税官吏作成の次の調査書

1  不動産仕入原価調査書

2  支払手数料調査書

3  事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の平成二年一〇月一五日付捜査報告書及び同三年一月一四日付捜査報告書(三通・事業税認定損の金額について、課税土地譲渡利益金額の計算に係る補足説明、課税土地譲渡利益金額について)

一  収税官吏作成の領置てん末書

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六一年八月期分)一袋(前同押号の2)

なお、前掲各証拠によれば、検察事務官作成の平成三年一月一四日付捜査報告書(課税土地譲渡利益金額について)中、当期の保有期間按分による土地等の帳簿価額の計算(昭和六一年八月期)のうち港区高輪一-六一七-五所在の物件については、その保有月数が一二分の一二となるべきところを、一二分の一として計算した結果、右物件の帳簿価額を六四〇万三〇二五円として、正規の帳簿価額七六八三万六三〇〇円よりも七〇四三万三二七五円過少に計算している。そのため、昭和六一年八月期の保有期間按分による帳簿価額の合計額が本来一三二億八二六一万三〇三六円であるのに、一三二億一二一七万九七六一円として計算し、その結果、譲渡物件の実績による販売費及び一般管理費のうち、按分配賦により計算された間接費中、売買共通費及び一般管理費の計算が過大となり、したがって実績による販売費及び一般管理費が過大となって、結局、昭和六一年八月期の課税土地譲渡利益金額が本来一一億四四二〇万五〇〇〇円、土地譲渡税額が二億二八八四万一〇〇〇円であるのに、これらをそれぞれ一一億四三六九万八〇〇〇円、二億二八七三万九六〇〇円と計算している。しかしながら、当裁判所は、訴因に掲げられた課税土地譲渡利益金額である右一一億四三六九万八〇〇〇円の限度で右金額及び土地譲渡税額を認定したものである。

(法令の適用)

罰条

(被告会社)いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一、二項

(被告人) いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択

(被告人) 懲役刑を選択

併合罪の処理

(被告会社)刑法四五条前段、四八条二項

(被告人) 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

(被告人) 刑法二五条一項

(求刑 被告会社につき罰金四〇〇〇万円、被告人につき懲役一年二月)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西田眞基)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

別紙2 修正損益計算書

<省略>

別紙3 脱税額計算書

会社名 有南開発株式会社

(1) 自 昭和59年9月11日

至 昭和60年8月31日

<省略>

(2) 自 昭和60年9月1日

至 昭和61年8月31日

<省略>

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